家族や介護、今が未来を創る  2003-1-20

入院して、長寿国日本の少子高齢社会と将来の介護の問題を考えてしまった。

入り口に寝ている93歳は、昔のインテリらしいが、今ではすっかり呆けている。3人の子供がいる。午前は定年退職した息子さんやお嫁さんがお見舞いに来るが、お嫁さんが来ても誰かわからない。毎晩、娘さんが夕食を食べさせに通ってくる。お孫さんも時々お見舞いに来る。お婆さんに犬と一緒のひ孫の写真の年賀状を見せたら「犬の方が賢そうなこと」と言うと娘さんが笑う。定年退職後に、親の介護という大きな仕事が待っている。

79歳の方も家族がいっぱい。毎日、同じ年の優しい夫がお見舞いに通ってきて、たくさんの子供や、孫たちに囲まれて幸せそう。ゲートボールや老人サークルに入っているのか、高齢の友人もいっぱい見舞いに来る。いつも見舞い客で賑やかで、疲れそうなくらい忙しそうだ。

今の70代、80、90代は子供や孫が多く、兄弟姉妹も多く、家族で介護し合うことができる。他の部屋にはぐったり寝たきりの老人や、小柄だけど看護婦さん5人が抑えて捕まえるほど暴れるお爺さんがいるが、奥さんが来るとおとなしくなる。

家族が多い今の高齢者は幸せだとしみじみと感じる。しかし世代によって変化する。

隣の患者は50代、離婚し3人娘を育てたそうだ。3人娘は来る度に千羽鶴を折って、千羽になったそうだ。21歳のお末娘は、毎日昼に必ずバイクでお見舞いに来て2時間ほどいる親孝行娘である。夜の飲食店勤務前に来るそうだ。長女の孫たちも時々来る。

同じ世代でも、2人の息子さんがいる奥さんは、なかなか息子はお見舞いに来ないと嘆く。子供によっても違う。子供も遊びや仕事で忙しいようだ。夫も仕事に忙しく家事もこなさなくてはいけないので、休みの日にしか現れない。パートの仕事をしていれば、仲間がお見舞いに来る。不規則な仕事で体調を壊したけど、生きがいのために仕事は辞められないと言う。

最近の女性たちは、パートで働いている人が多く、入院しながらタクシーの運転手や飲食店やいろいろな職業を知り、社会勉強にもなる。

生き別れはさっぱりしているが、死に別れは伴侶が美化されてすぎて、再婚もできないそうという60代の女性。聞けば遺族年金がたくさんもらえるそうで、女性たちがパートで毎日一生懸命働く年収よりはるかに大きな収入を得ている。戦争遺族年金も高額なので働くことを選ばないと聞iいたことがあるが、戦後、手厚い保護よりも、男女平等雇用促進政策に力を入れるべきだったのに、日本の社会保険制度は崩壊するかもしれない。

友人の母が老人ホームに入ると電話で聞いた。安いところを探したけど、毎月20万円かかるそうだ、それを子供たちが負担すると、私たちの時はどうなるのだろうと不安になる。日本の少子高齢社会に対応する体制がとれてヴィジョンがなく、皆が老後のために貯蓄し始めたら経済がさらに回転しなくなるだろう。保障され有利な一部の人が既得権を守ろうとするから社会が硬直し、妻でいる方が働くより有利なら人材も活性化しにくく、起業や変化も難しいのだろう。

夫婦もいろいろだ。50年も連れ添っていると、仲睦まじい。良く見える夫でも妻はそれなりに不満はあるそうだが。ラブラブで羨ましい若いカップルもいる。人生には好調な時も不調な時もある。好調な時だけでなく困難な時にどう支えあえるかが配偶者としての重要なポイントだと思う。支え切れない場合、別れることもあると思う。

わが夫は頼まれた物だけ渡して何もしゃべらず郵便配達のように出て行く。忙しいし病院が嫌いなのだそうだ。渋滞の中、わざわざ時間をかけてくれるのだから来てくれるだけでもありがたい。今回はもう高齢の親には来てもらえないと告げてあるから、夫なりに来てくれるようになり進歩した。帰れば家事などもするので、無言実行タイプなのだ。

私よりちょっと若い人は、子供がいなくても元気な年配の親や義理の親が心配そうにお見舞いに来る。親も退職し、時間的にゆとりができる。

30代で、やっと生まれた1歳と5歳のお母さんは、留守の育児が心配そうだ。田舎で働いている母親に頼んだり、近所の幼稚園のお母さんに頼んだり、夫の勤務時間が長いので、平日は子育てが難しい。

若い人たちも、子供が欲しいけどできにくいようだ。少子化現象はけっして望んたものではない。子供がいるのも大変だが、子供ができないのもストレスなのだと。雅子様は宮内庁一団がついているからやっとできたとまで言うがストレスだっただろうと語り合う。

日本では、ペットが家族の大きな役割を担う。犬の写真を見ていると癒される。患者も互いに犬の写真を見せ合い、医者までが身につけている愛犬の写真を見せ、子供より素直で可愛いという。ストリートチュードレンもいないし、豊かな国である証拠だ。

今までの人は子供や兄弟が多かった。でも私たち世代以下は、兄弟も少なく、子供もいない。独身者も多い。結局自分だけの家族を超えた、友人や同居人、仲間などの人間関係に価値ができ、支え合って互いに生きていくようになるのだろう。政治家や役人には期待はできない。とにかく将来のことを心配するより、今を100%生きていけば、それが私たちの未来への保険。自分たちの今、この一瞬間が、私たちの未来を創っていくのだろう。


こんな日本の高齢社会に関する問題を、ネパールのミーナさんにメールしたら、先進国はどこも同じ問題を抱えている。グローバルに見たら、人口増加しているのだ。50年先の将来の高齢社会を案ずる日本人の私は、平和な日本に住んでいるから。他の国では戦争、飢餓、明日の命も定かではない。アメリカ人の義姉と話しても、長期入院して治療できる日本の保険完備制度や、手厚い老人医療や高度な医療技術は今の日本だからできるのだと感じ有り難いと思う。