日本人であること 2002-2-24

 ネパールのミーナさんが来日する予定であるが、外国人にとって日本VISA取得が困難であることがわかった。招待状の手紙を丁寧に書いて送ったのだが、それだけでは不充分で国税証明書や名刺がいるそうだ。何?大使館や外務省に問い合わせてやっと理解できた。招待する人の源泉徴収票を提出しなくてはいけないそうだ。私はフリーターで名刺を持たない肩書きのない人間に徹していたが、外国人を招待するに値する社会に認められない存在かもしれない。パートでも大丈夫だと外務省は言い、慌てて書類を整え再度送ったが、ミーナさんが万一来れない場合、私のせいだったらどうしよう。まだ来るまでヒヤヒヤする。

バングラデッシュの友人が、日本から海外旅行するにも源泉徴収票が必要なのだそうだ。夫と合わせて収入が多い方が有利らしい。

私がネパールに行った時は、カトマンズ空港で簡単にVISAを取得した。その時いた空港で働く女性が人なつっこく、荷物を待っている間も話しかけきて今妊娠中だとか同じ空港に勤めている旦那さんまで挨拶に連れて来て、家に遊びにいらっしゃいと言われた。行ってみたかったけど迎えに来たガイドさんに止められ諦めた。日本人であることは特権なのかもしれない。

日本人であるとわかると、けっこう尊敬してもらえる。大きな経済力を持ったアジアの小さな神秘の国、日本。勤勉で信頼できる国民、戦争もなく平和で穏やかな国民と思われているようだ。ブラジルのアマゾンでも地元有力紙の新聞日曜版にコブラを抱きしめている私の写真が大きく載った。あれも私が日本人であるからだ。

日本にいるとあまり日本人のメリットを感じない。でもたくさん海外旅行が気軽にできるのは嬉しいことだ。日本に閉じ篭っていたらもったいないと思う。

しかし日本の現実、夫は休みもなく、ずっとスリーピングバッグで仮寝しながら仕事をこなしているような状況。仕事仲間も休みを返上、事務所の中に住んでいる私は休日は社員食堂をやって、今日はキンコーズにコピーを頼まれて行った。面白い服装のデザイナーやらアーティスト風の人も休みも無く仕事をしているようだ。

友人たちの夫は銀行マンやサラリーマン。皆夜は遅く、朝は早く、まったく余裕がない生活で疲れて果てている様子。リストラしてるから残っているサラリーマンがより忙しくなったと聞く。妻に子育て、家事一切がかかってくることで支えられ、そんな男に合わせるキャリアウーマンたちも一段と忙しく体力強化に励まなくてはいけない。

そう日本人は海外に出れても、時間がなくて現実的には出れないのだ。世界の中では経済的に豊かに思われても生活大国ではない。こんな忙しい生活を見たら、ネパール人はさぞかし驚くことだろう。

ブラジルから出稼ぎに来た男性は、貨幣価値が異なるから収入面ではよくても重労働で時間が無くて我慢できないと1年で帰っていった。ネパール人は、日本で勉強してエンジニアになったのに時間がない生活を止めて母国へ帰りたいともいう。外国人に耐えきれない生活を我慢している。このまま生活が改善されないまま、安易なデフレ対策で円安になったら国力を失い悲惨である。

時間は森羅万象平等に与えられているのだが、日本人は忙しく生活を楽しむ余裕がない。自分の生活にめいっぱいだ。勤勉で実力があったとしても、生活にゆとりが無く豊かでない。変革もなかなか進まない。世界のシーダーシップもとれない。学校時代から自分を殺して我慢し、周りに合わせる状況に慣れているのだろう。

しかしこれだけの仕事エネルギーを注いでも不況でどうして生活が悪くなるのか、リストラされるのか、もっと見方を変えていけば社会も変わるのではなかろうか。

渋谷で甘い匂いが私を魅了した。シュークリームの店だ。お土産に買おうと思ったら、7,8人並んでいた。待とうかなと思ったらなんと向え側に3列50人ほどが列を作っていた。この匂いという空気、それが不況であっても時間のない日本人を待たせる魅力になるのかとしみじみ感じた。これからは気とか感覚にうったえるなどが重要になるかもしれない。ものを見る尺度を変えることもできるのだ。